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フランスで1月に食べるガレット・デ・ロワとは?

フランス

ガレット・デ・ロワのトップ画像

新年を迎えると、フランスでは「ガレット・デ・ロワ」という特別なお菓子が各地で楽しまれます。このお菓子には歴史的な背景や独特の楽しみ方があり、フランスの文化に深く根付いています。今回は、ガレット・デ・ロワの起源や伝統的な楽しみ方、そして地域ごとの特徴について詳しくご紹介します!

  • ガレット・デ・ロワとは?
  • ガレット・デ・ロワの中に入っているおもちゃとは?
  • フェーブの歴史と種類

ガレット・デ・ロワとは?

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ガレット・デ・ロワは、フランスで新年の時期に食べられる伝統的なお菓子です。主にパイ生地と、アーモンドクリームで作られているおいしいお菓子です。

1月6日のエピファニー(公現祭)というキリスト教のお祝いで食べられています。エピファニー(公現祭)とは、キリストが生まれたときに東方の三人の博士(賢者)が訪問したことを記念する日のことで、現代では1月6日やその近くの日曜日に祝われます。

家族や友達と一緒に楽しむもので、宗教的な意味合いを超えて、職場や地域イベントなどでも行われることが多いです。

ガレットの楽しみ方

ガレット・デ・ロワには「フェーブ」という小さな陶器の飾りが中に入っています。このフェーブを見つけた人はその日「王様」または「女王様」になります。そして、紙で作られた王冠をかぶり、王様や女王に選ばれた人がその日の主役となり、みんなで楽しい時間を過ごします。

ガレット・デ・ロワを使った伝統的な「王様決め」の流れ

エピファニーの日に行われるガレット・デ・ロワを使った遊びは、家族や友人が集まる楽しい伝統です。この遊びは4つのステップで進行します。

  1. ガレットを切り分ける

    ガレットは、参加者全員が平等に楽しめるように切り分けられます。
    最年少の子どもがテーブルの下に入り、ガレットを切り分けた人に「誰に渡すか」を指示します。これにより、ガレットを公平に分けることができます。

    「神様の分」も用意する
    中世からの伝統で、ガレットは参加者の人数分に加えて「もう1つの分」(神様の分、聖母の分、または貧しい人の分)を用意します。この特別な分は、家に訪れる最初の貧しい人に渡す習慣がありました。

  2. フェーブを見つける

    ガレットの中には、小さな人形や飾り(フェーブ)が隠されています。このフェーブを見つけた人が「その日の王様や女王」として選ばれます。

    19世紀の上流社会での遊び方
    フェーブを見つけた人はすぐに発表せず、選んだ相手のカップにそっと入れます。その後、フェーブを発見した人が「王様」や「女王」として発表されます。

    シンプルなバリエーション
    フェーブを見つけた人がそのまま王様や女王となり、相手を1人選ぶという形もあります。

  3. 王冠を受け取る

    フェーブを見つけた人は、紙や金色の布でできた王冠を受け取ります。自分で被るか、誰か別の人に王冠を渡すこともできます。

  4. お祝いを楽しむ

    王様や女王に選ばれた人がその日の主役となり、みんなで楽しい時間を過ごします。

昔の記録
15世紀には、大きなガレットを囲んで座り、フェーブを見つけた人が紙の王冠を被り、金属製のカップを持って「王様万歳!」とみんなで祝ったとされています。

ガレット・デ・ロワの起源

このお菓子の伝統は、古代ローマの「サトゥルナリア祭」というお祭りに由来すると言われています。

この祭りでは、一日だけ奴隷が「王様」として扱われ、自由にふるまえる特別な日がありました。このとき、フェーブ(豆)を使って「その日の王様」をくじ引きで決めていたのです。

後の時代には、フランスで子どもがテーブルの下に座り、ケーキの切り分けを指示することで公平にフェーブを配る方法が広まりました。この伝統は、現在のガレット・デ・ロワのルールに繋がっています。

中世のガレット・デ・ロワ

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中世では、ガレットは王様の祝宴やエピファニーの行事と結びついていました。たとえば:くじで「王様」を決める遊び

ガレットを分けて食べ、フェーブ(豆や飾り)が入った部分を引き当てた人が「王様」になり、この「王様」は宴会でみんなにからかわれたり、楽しませたりする役目を果たしてました。

貧しい子どもを「王様」にする伝統

ある公爵(ブルボン公ルイ2世)は、エピファニーの日に街で最も貧しい8歳の子どもを見つけて「王様」にしました。

その子どもには豪華な服を着せ、王様のようにもてなし、次の日には学費として大金を渡していたそうです。これにより、貧しい家庭が教育を受けられる機会を得られました。

昔のガレットの記録

13世紀の詩では、ある貴族の女性がフェーブ入りのガレットを作ったことが記されています。また、中世のフランスでは、出産を終えた女性が回復祝いとしてこのガレットを贈ることがありました。

現代フランスでのガレット・デ・ロワ

2014年の調査によれば、97%の人々がエピファニーにガレットを食べると答えています。

    食べるガレットの種類
  • 70%:北フランスで一般的な「フランジパン入りパイ生地のガレット」
  • 11%:南フランスやフランシュ=コンテ地方で人気の「オレンジフラワーウォーター風味の密度がある生地のガトー」
  • 9%:5個以上のガレットを食べる熱心な人たち。

また、68%の人々がフェーブを子どもにあげるためにわざと「ズル」をすることがあると答えています。

フェーブの歴史と種類

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フェーブという名前は、元々「そら豆」を意味していました。最初は、本物のそら豆をガレットに隠していました。18世紀末頃から、磁器(陶器)製の小さな飾りが使われるようになりました。

フェーブ(おもちゃ)の役割と歴史

「ガレット・デ・ロワ」に隠されるフェーブ(小さな人形や飾り)は、王様決めのためだけに使われるものではありません。古代ギリシャやローマの時代から、フェーブは重要な選択や儀式で使われてきました。

古代ギリシャ人は、役人を選ぶ際にフェーブを使って投票しました。ローマ人は、冬のお祭り「サトゥルナリア」の間、宴会のリーダーを決めるためにフェーブを使いました。

キリスト教が広まると、教会はこの「フェーブを使った選び方」を取り入れました。ガレット・デ・ロワのフェーブは、元々はイエス・キリストを象徴する小さな人形に置き換えられました。この風習により、ガレットはキリスト教の祝日「エピファニー」と結びつきました。

フランス革命時代には、キリスト教的な「イエスの人形」の代わりに、「自由のシンボル」であるフリジア帽が使われました。さらに、王様を決めない形で「平等のガレット」という新しい形式も生まれました。

現代のフェーブ

1870年代以降、磁器やプラスチック製のコレクション用フェーブが普及しました。フランスやベルギーの一部のパン屋では、18金の金貨をフェーブの代わりに使うこともあります。

ガレット・デ・ロワは地域よって違う?

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地域によって呼び名や形が異なり、フランス北部(パリ周辺)のガレットは、パイ生地(パート・フィユテ)を使い、フランジパン(アーモンドクリーム)を詰めたガレットが一般的です。他にも、チョコレートやフルーツを使ったもの、リンゴのコンポート入りのガレットなど、バリエーションが豊富です。

南フランスのガレットは、「ガトー・デ・ロワ」という甘いパン生地のブリオッシュを使ったガレットが一般的で、生地にはオレンジフラワーウォーターやレモンの香りを付け、表面には砂糖やフルーツの砂糖漬けが飾られていて王冠の形をしています。

ブルターニュ地方では「クイニャマン・デ・ロワ」という、フランジパン入りのクイニーアマンが食べられています。フランス海外領土のガイアナでは、「ガレット・クレオール」があり、ココナッツやグアバなどの南国フルーツを使ったバリエーションもあります。

フランス周辺の国々のガレット・デ・ロワのような習慣

フランス以外の国々でも、エピファニー(公現祭)を祝う際に、フランスのガレット・デ・ロワと似た習慣が見られます。ただし、各国で使われるお菓子の種類や名前、特徴は異なります。

カナダのケベック州やアカディア地方では、フランスのガレット・デ・ロワの伝統がそのまま受け継がれており、エピファニーを祝うためにガレットを食べます。

イタリアの(トスカーナ地方)では、Befanini(ベファニーニ)と呼ばれるレモンの皮やチョコチップ、レーズン、カラフルな砂糖飾りがのったクッキーが食べられています。

スイスのスイスロマンド地方(フランス語圏)では、1960年代に伝統が広がり、現在では主にブリオッシュ生地のガレットが一般的です。南フランスと似ていますね。

まとめ

ガレット・デ・ロワは、フランスの歴史や文化を感じながら、新年の幸運をみんなで分かち合える特別なお菓子です。あなたも今年はガレット・デ・ロワを囲んで、家族や友人と楽しいひとときを過ごしてみませんか?

最後まで読んでいただきありがとうございます!